家といえば庭

梅干す風景 by 住民B


石積みの家と梅干す風景
毎年、梅干を作ります。七月の中旬に青みが抜けて、ほんのり色づいた梅を収穫してから、この季節感たっぷりの 作業が始まります。横浜で暮らしていたときには、自分が「梅干し」をつける人間になろうとは、想像もできなかったです。信州に越してきて、梅から道具から 場所まで、すべて提供してくれて教えてもらった師匠に出会ったからこその今です。この師匠には、もちろん梅に限らず、いろいろたくさんの事を教わり、また 本当にお世話になっています。出会いはつくづく有り難いものです。
師匠伝授の梅干は、採り時が絶妙なので、重石を使いません。すんごい、ふっくらしたやわらかい出来です。でも、この梅干は、ちょっと早目の収穫となってし まったので、若干の重石をかけました。赤ジソも使わない、塩漬けしたままの梅なので、色はほんのり赤みがのる程度です。真夏の照りつける太陽の下でちょう ど良くしぼんだ梅を、日が落ちた夕方、ひとつ、ひとつひっくり返します。この作業が、梅干作りでは一番楽しい気がします。気持ちが集中するっていうのか、 汗だくになって夢中になっている自分がいます。干し始めて2日間は、夜はザルごと軒下に移動させますが3日目の最後の晩だけは、そのままにして夜露に当て ます。そして翌朝、その夜露が乾かないうちに、保存容器に取り込みます。この梅に降りる夜露、これが隠し味のような気がしてなりません。師匠曰く、梅干は 塩気が馴染む5年もの以降(少なくとも3年もの)を食べるように、というお達し。おかげさまで我が家では、8年ものを食べています。
夜露の降りた梅干し
2010.8.7