1月、2月の信州は地面が凍ってしまう程なのでセメントを使う仕事に向きません。3月に入って、暖かい陽気を狙って、動き出します。まずは土手を崩したところの土留めの石積みから。徐々に身体を慣らして、モルタル仕事ができるようになったら、また家の石積みの再開です。
石積み2年目の夏は記録的な暑さでした。涼しいはずの信州も、日中の気温38度という日もありました。塩をなめながら木陰もない炎天下で、石を切り、石を組み、モルタルを練るという作業が続きました。
当時、セメント袋はまだ1袋40キロで、とても重いものでした。家一軒分、結局すべて、手で練りました。水道や電気などの設備もまだなかったので、水もタンクに詰めて運んでいました。
石積みをしていて、「ずいぶん立派な基礎だね。」とよく褒めてもらいました。ただ平らに積み上げていた初めの数段の時から、窓やドアの開口部の細工が増えた時、角石を作る仕事は増えたけれど、やっと家らしくなっていく気がして、とても嬉しかったのを覚えています。
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